債権総則(全35問中26問目)

No.26

A銀行のB社に対する貸付債権につき、Cは、B社の委託を受けその全額につき連帯保証するとともに、物上保証人として自己の所有する土地に担保設定している。DもB社の委託を受け全額につき連帯保証している。保証人各自の負担部分は平等である。A銀行とB、C及びDとの間にその他特段の約定はない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
平成18年試験 問7
  1. Cが、A銀行に対して債権全額につき保証債務を履行した場合、その全額につきB社に対する求償権を取得する。
  2. Cが、A銀行に対して債権全額につき保証債務を履行した場合、その半額につきDに対する求償権を取得する。
  3. Cが、担保物の処分代金により、A銀行に対して債権の3分の2につき物上保証に基づく弁済をした場合、Cが取得するB社に対する求償権は、A銀行のB社に対する貸付債権に劣後する。
  4. Dが、Aに対して債権全額につき保証債務を履行した場合、Cの物上保証の担保物件の価額相当額につきCに対する求償権を取得する。

正解 4

問題難易度
肢112.0%
肢219.8%
肢320.3%
肢447.9%

解説

07.png./image-size:316×240
  1. 正しい。保証人が弁済をした場合、保証人は主たる債務者に対して求償権を取得します(民法459条1項)。
    保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済、その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。
  2. 正しい。保証人の一人が弁済をした場合、他の保証人に対して自己の負担を超えた部分につき求償権を取得します(民法465条1項民法442条1項)。連帯保証人はCD2人なので、全額を弁済したCはその半額をDに求償できます。
    第四百四十二条から第四百四十四条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
    連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する。
  3. 正しい。本肢のように物上保証に基づく代位弁済をした場合、それにより取得する求償権は、貸付債権に劣後します(最判昭60.5.23)。求償権より元の債権が優先されるべきだからです。
    債権の一部につき代位弁済がされた場合、右債権を被担保債権とする抵当権の実行による競落代金の配当については、代位弁済者は債権者に劣後する。
  4. [誤り]。全額を代位弁済したDはAに代位します。担保権も代位しますが、Cに求償できるのは担保物権の価額相当額ではなく、自己の負担部分を超えた額(半額)までです(民法501条3項4号、民法442条1項)。
    保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
    Eの担保不動産を買い受けた第三者がA銀行に対して債権全額を弁済した場合、当該第三者は、Cに対して、弁済した額の一部を求償することができる。H25-6-4
したがって誤っている記述は[4]です。