所有権・共有・占有権・用益物権(全32問中14問目)

No.14

共有に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
平成23年試験 問3
  1. 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるが、5年を超えない期間内であれば、分割をしない旨の契約をすることができる。
  2. 共有物である現物の分割請求が裁判所になされた場合において、分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は共有物の競売を命じることができる。
  3. 各共有者は、共有物の不法占拠者に対し、妨害排除の請求を単独で行うことができる。
  4. 他の共有者との協議に基づかないで、自己の持分に基づいて1人で現に共有物全部を占有する共有者に対し、他の共有者は単独で自己に対する共有物の明渡しを請求することができる。

正解 4

問題難易度
肢17.6%
肢213.4%
肢312.1%
肢466.9%

解説

  1. 正しい。各共有者は、いつでも共有物の分割の請求をすることができます。ただし、5年を超えない期間内であれば、分割をしない旨の契約をすることも可能です(民法256条1項)。
    各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
    A、B及びCは、5年を超えない期間内は甲土地を分割しない旨の契約を締結することができる。H19-4-3
    各共有者は何時でも共有物の分割を請求できるのが原則であるが、5年を超えない期間内であれば分割をしない旨の契約をすることができる。H15-4-4
  2. 正しい。共有物の分割請求を受けた裁判所は、共有物の現物分割または全面的価格賠償による分割ができない場合や、分割によってその価格を著しく減少させるおそれがある場合には、共有物の競売を命ずることができます(民法258条3項)。
    前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
  3. 正しい。共有物の保存行為は各共有者が単独で行うことができます(民法252条5項)。共有物の不法占拠者に対する妨害排除の請求は、この保存行為に該当するため各共有者が単独で行うことができます。
    各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
    共有物の保存行為については、各共有者が単独ですることができる。R2⑫-10-3
  4. [誤り]。各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます(民法249条1項)。したがって、自己の持分に基づく使用ならば、各共有者は共有物全部を占有することも可能であり、他の共有者はそのことにつき明渡しを請求することはできません(最判昭41.5.19)。
    持分が1/3ならば、1年のうち4か月間にわたり全部を占有するなど
    各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる
    共有物の持分の価格が過半数をこえる者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡を請求することができない。
    共同相続に基づく共有物の持分価格が過半数を超える相続人は、協議なくして単独で共有物を占有する他の相続人に対して、当然にその共有物の明渡しを請求することができる。H30-10-4
    共有者の協議に基づかないでAから甲土地の占有使用を承認されたDは、Aの持分に基づくものと認められる限度で甲土地を占有使用することができる。H19-4-1
    Bが、その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は、A・Cは、Bに対して、理由を明らかにすることなく当然に、その明渡しを求めることができる。H13-1-2
したがって誤っている記述は[4]です。