不動産登記法(全26問中24問目)

No.24

不動産登記の申請に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
平成14年試験 問15
  1. 権利に関する登記の申請をするときは、申請情報を記載した書面を登記所に提出する方法のほか、書面の郵送による申請やオンラインによる申請ができる。
  2. 委任による登記申請の代理権は、本人の死亡によって消滅する。
  3. 登記の申請は、登記権利者及び登記義務者が共同してするのが原則であるが、相続による登記は、登記権利者のみで申請することができる。
  4. 登記権利者及び登記義務者が共同して申請することを要する登記について、登記義務者が申請に協力しない場合には、登記権利者が登記義務者に対し登記手続を求める旨の判決を得れば、その登記義務者の申請は要しない。

正解 2

問題難易度
肢114.4%
肢269.6%
肢38.0%
肢48.0%

解説

  1. 正しい。登記の申請をするときは、申請情報を記載した書面を登記所に提出する方法のほか、書面の郵送による申請やオンラインによる申請も行うことができます(不動産登記法18条)。
    登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
    一 法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法
    二 申請情報を記載した書面(法務省令で定めるところにより申請情報の全部又は一部を記録した電磁的記録媒体を含む。)を提出する方法
  2. [誤り]。委任契約による代理権は、本人の死亡によって消滅するのが民法の原則です(民法101条1項1号)。しかし、登記申請者本人が死亡した場合であっても、登記申請者の委任を受けた代理人(司法書士や土地家屋調査士などの資格代理人)の権限は消滅しないことになっています(不動産登記法17条1号)。委任者の相続人から再度委任を受ける手間を省き、一度開始した登記手続きを迅速に進めるためです。
    代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
    一 本人の死亡
    登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
    一 本人の死亡
    登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によって消滅する。R3⑩-14-2
    登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。R1-14-4
    代理人の意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。H26-2-エ
    法人について即時取得の成否が問題となる場合、当該法人の代表機関が代理人によって取引を行ったのであれば、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、当該代理人を基準にして判断される。H24-2-2
    登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。H24-14-1
    Bは、Aに対してCとの間の売買契約を委任したが、Aが、DをCと勘違いした要素の錯誤によってDとの間で契約した場合、Aに重大な過失がなければ、この契約は取り消すことができる。H14-2-1
  3. 正しい。権利の登記は、登記権利者及び登記義務者が共同で申請するのが原則ですが、相続・法人の合併による権利の移転登記では、登記義務者となるべき人が死亡や消滅により存在しないので、相続人や存続会社等の登記権利者が単独ですることができます(不動産登記法63条2項)。
    相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
    法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。R3⑩-14-3
    相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。H17-16-2
  4. 正しい。登記手続きを命じる確定判決が出ている場合は、登記原因を証する情報である確定判決の判決書の正本が、第三者の許可・同意・承諾(以下、許可等)の情報を兼ねるので、当事者の一方が単独で登記を申請することができます(不動産登記法63条1項)。よって、判決を得れば登記義務者の申請は不要という本肢の記述は適切です。
    第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
    登記の申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。H17-16-1
    登記原因を証する情報として執行力のある判決が添付されている場合でも、法律の規定により第三者の許可がなければ権利変動の効力を生じないとされているときは、別に当該第三者の許可を証する書面を添付しなければならない。H15-15-4
したがって誤っている記述は[2]です。