借地借家法(建物) (全23問中1問目)

No.1

賃貸人Aと賃借人Bとの間で令和2年7月1日に締結した居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
令和2年12月試験 問12
  1. 当該建物の修繕が必要である場合において、BがAに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらずAが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは自ら修繕をすることができる。
  2. BがAに無断でCに当該建物を転貸した場合であっても、Aに対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、Aは賃貸借契約を解除することができない。
  3. 賃貸借契約に期間を定め、賃貸借契約を書面によって行った場合には、AがBに対しあらかじめ契約の更新がない旨を説明していれば、賃貸借契約は期間満了により終了する。
  4. Bが相続人なしに死亡した場合、Bと婚姻の届出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にあった同居者Dは、Bが相続人なしに死亡したことを知った後1月以内にAに反対の意思表示をしない限り、賃借人としてのBの権利義務を承継する。

正解 3

問題難易度
肢15.7%
肢28.0%
肢364.4%
肢421.9%

解説

  1. 正しい。賃貸物の使用収益に必要な修繕は貸主の義務であり、賃貸借契約に定められている場合を除き、借主が勝手に行うことはできないのが原則ですが、以下の2つの場合には賃借人による修繕が認められています(民法607条の2)。
    1. 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき
    2. 急迫の事情があるとき
    本肢は1つ目のケースに該当するので、賃借人Bは自ら修繕をすることができます。
  2. 正しい。賃借権の譲渡と転貸借には賃貸人の承諾が必要とされており、無断転貸等があった場合、賃貸人は賃貸借契約を解除できるとされています(民法612条)。しかし、判例ではこの解除権を一部制限し、その無断転貸等が賃貸借関係を継続するに堪えない背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合には、契約解除をすることはできないとしています(最判昭28.9.25)。
    賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
    2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
    賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用または収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるにたらない本件の如き特段の事情があるときは、賃貸人は民法第六一二条第二項により契約を解除することはできない。
  3. [誤り]。建物の賃貸借契約を期間満了で終了するためには、定期建物賃貸借とする必要があります。定期建物賃貸借とするための要件は次の2つです(借地借家法38条1項・2項)。
    1. 書面で契約する
    2. 契約前に賃貸人から賃借人に対して、契約の更新がなく期間満了で終了する旨を記載した書面を交付して説明する(契約書面とは別個)
    本肢では、賃貸人から賃借人への書面交付が不足しているので要件を満たしません。この際、更新のないこととする定めは無効で普通建物賃貸借となるので、Aは期間満了による契約終了をBに対抗することはできません。
    期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
    2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
  4. 正しい。建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、事実婚または事実上養子関係にあった同居者があるときは、その同居者が賃借権を承継します。ただし、その同居者が、賃借人が相続人なく死亡したことを知ってから1カ月以内に反対の意思を表示すれば、承継は生じません(借地借家法36条1項)。
    居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
したがって誤っている記述は[3]です。