借地借家法(土地) (全21問中1問目)

No.1

次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
令和2年12月試験 問11
  1. 借地権者が借地権の登記をしておらず、当該土地上に所有権の登記がされている建物を所有しているときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができるが、建物の表示の登記によっては対抗することができない。
  2. 借地権者が登記ある建物を火災で滅失したとしても、建物が滅失した日から2年以内に新たな建物を築造すれば、2年を経過した後においても、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。
  3. 土地の賃借人が登記ある建物を所有している場合であっても、その賃借人から当該土地建物を賃借した転借人が対抗力を備えていなければ、当該転借人は転借権を第三者に対抗することができない。
  4. 借地権者が所有する数棟の建物が一筆の土地上にある場合は、そのうちの一棟について登記があれば、借地権の対抗力が当該土地全部に及ぶ。

正解 4

問題難易度
肢113.0%
肢226.8%
肢320.8%
肢439.4%

解説

  1. 誤り。借地借家法上では、借地権の対抗要件を「土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するとき」としています。この登記は権利の登記に限られず、表題登記のみであっても「登記されている建物」という条件を満たします(最判昭50.2.13)。
    よって、建物の表示の登記をもって当該借地権を第三者に対抗することができます。
    借地人が借地上に自己を所有者と記載した表示の登記のある建物を所有する場合は、建物保護に関する法律一条にいう登記したる建物を有するときにあたる。
  2. 誤り。「土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するとき」が借地権の対抗要件という規定に則れば、借地上の建物が滅失したときは、借地権の対抗要件が失われてしまいます。しかしこのような場合でも、借地権者が、借地上にその建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日および建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示すれば、滅失から2年間は借地権の対抗要件を存続させることができます。滅失から2年経過後は、原則通り借地権者名義で登記された建物の所有が必要となります(借地借家法10条2項)。
    本肢は、滅失から2年以内に築造していますが、建物の登記を欠いているので借地権の対抗要件は失効します。よって、借地権を第三者に対抗することはできません。
    前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。
  3. 誤り。土地の賃借人が借地権の対抗要件を具備している場合、その賃借人から借地上の建物を賃借した転借人は、自己の転借権について対抗要件を備えているか否かにかかわらず、賃借人の借地権を援用することで、転借権を第三者に対抗することができます(最判昭39.11.20)。
    土地賃借人の有する借地権が対抗要件を具備しており、かつ転貸借が適法に成立している以上、転借人は、賃借人(転貸人)がその借地権を対抗しうる第三者に対し、賃借人の借地権を援用して自己の転借権を主張しうるものと解すべきである。
  4. [正しい]。一筆の土地上に複数の建物がある場合には、少なくとも1つが借地権者名義で登記されている建物であれば、借地権の対抗力が土地全部に及びます(大判大3.4.4)。
    なお、二筆の土地を賃借していて、その一方に借地権者が登記されている建物がある場合には、土地の利用状況等に応じて借地権の対抗力が及ぶかどうかが変わります。単に一方を庭として使っているにすぎない場合には対抗力は及びませんが、一体として利用している場合は借地権が保護されることがあります。
したがって正しい記述は[4]です。