家族法(全31問中22問目)

No.22

遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
平成22年試験 問10
  1. 自筆証書遺言は、その本文をパソコン等で印字していても、日付と氏名を自書し、押印すれば、有効な遺言となる。
  2. 疾病によって死亡の危急に迫った者が遺言をする場合には、代理人が2名以上の証人と一緒に公証人役場に行けば、公正証書遺言を有効に作成することができる。
  3. 未成年であっても、15歳に達した者は、有効に遺言をすることができる。
  4. 夫婦又は血縁関係がある者は、同一の証書で有効に遺言をすることができる。

正解 3

問題難易度
肢116.6%
肢27.8%
肢371.2%
肢44.4%

解説

  1. 誤り。自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付、氏名を自書し、押印することによって成立します(民法968条1項)。
    よって、パソコン等での印字では有効な遺言とはなりません。民法の改正に伴い2019年(平成31年)1月13日から、遺言書に添付する財産目録に限りパソコン等で作成できるようになりましたが、財産目録以外の部分は従前と同じく自書することが必要です。
    自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
    自筆証書による遺言をする場合、遺言書の本文の自署名下に押印がなければ、自署と離れた個所に押印があっても、押印の要件として有効となることはない。H27-10-2
  2. 誤り。疾病によって死亡の危急に迫った者は、証人3人以上の立会いのもとに口述し、口述を受けたものが筆記することで遺言を残すことができます(民法976条1項)。
    よって、代理人が公証人役場に行って行うことはできません。
    疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
  3. [正しい]。民法では、15歳に達した者は遺言をすることができると定めています(民法961条)。
    十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
  4. 誤り。遺言は、同一の証書で1人のみしかすることができません(共同遺言の禁止)。これは、夫婦又は血縁関係がある者であっても同様です(民法975条)。
    遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
したがって正しい記述は[3]です。