家族法(全31問中21問目)

No.21

AがBから事業のために、1,000万円を借り入れている場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
平成23年試験 問10
  1. AとBが婚姻した場合、AのBに対する借入金債務は混同により消滅する。
  2. AがCと養子縁組をした場合、CはAのBに対する借入金債務についてAと連帯してその責任を負う。
  3. Aが死亡し、相続人であるDとEにおいて、Aの唯一の資産である不動産をDが相続する旨の遺産分割協議が成立した場合、相続債務につき特に定めがなくても、Bに対する借入金返済債務のすべてをDが相続することになる。
  4. Aが死亡し、唯一の相続人であるFが相続の単純承認をすると、FがBに対する借入金債務の存在をしらなかったとしても、Fは当該借入金債務を相続する。

正解 4

問題難易度
肢17.2%
肢24.2%
肢311.7%
肢476.9%

解説

  1. 誤り。混同とは、債権者と債務者が同一人物になることにより債権・債務が消滅することです(民法520条)。夫婦が婚姻前から有する財産は、その人の固有財産であり、婚姻してもAとBは別人格ですので債務が消滅することはありません。
    債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
  2. 誤り。連帯債務者となるには法令の規定又は当事者の意思表示が必要です。養子縁組をしただけで、養親や養子の債務について連帯債務を負うことはありません。
  3. 誤り。被相続人のすべての資産を一人の相続人が相続したとしても、すべての債務を当該相続人が当然に相続するということにはなりません。相続債務につき特に定めがない場合には、被相続人の債務は法定相続分に応じてDとEが相続することになります。
  4. [正しい]。単純承認をした場合、相続人は被相続人の権利のみならず、義務も承継します(民法920条)。よって、借入金債務の存在を知らなかったとしても、相続人が1人の場合には当該借入金債務の全部を相続しなければなりません。
    相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
したがって正しい記述は[4]です。