不法行為・事務管理 (全14問中12問目)

No.12

Aの被用者Bと、Cの被用者Dが、A及びCの事業の執行につき、共同してEに対し不法行為をし、A、B、C及びDが、Eに対し損害賠償債務を負担した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
平成14年試験 問11
  1. Aは、Eに対するBとDの加害割合が6対4である場合は、Eの損害全額の賠償請求に対して、損害の6割に相当する金額について賠償の支払をする責任を負う。
  2. Aが、自己の負担部分を超えて、Eに対し損害を賠償したときは、その超える部分につき、Cに対し、Cの負担部分の限度で求償することができる。
  3. Aは、Eに対し損害賠償債務を負担したことに基づき損害を被った場合は、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、Bに対し、損害の賠償又は求償の請求をすることができる。
  4. Dが、自己の負担部分を超えて、Eに対し損害を賠償したときは、その超える部分につき、Aに対し、Aの負担部分の限度で求償することができる。

正解 1

問題難易度
肢157.4%
肢28.7%
肢315.3%
肢418.6%

解説

  1. [誤り]。本問のような共同不法行為があった場合、その損害賠償責任は各人が連帯して負います(民法719条1項)。また、不法行為は業務執行に当たり生じたものですので、加害者の使用者であるAとCも連帯して責任を負います(民法715条1項)。
    連帯債務と同様に、債権者は連帯債務者の1人に対して全額を請求することができるので、加害割合を問わず、AはEからの損害全額の請求を拒むことはできません。その後、Aは他の者に対して求償できます。
    数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
    ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
  2. 正しい。加害者の使用人が、その負担部分を超えて損害を賠償したときは、その負担部分を超える部分につき、他方の加害者の使用者に対して求償できます(最判平3.10.25)。
    よって、Bの使用者であるAは、Eの使用者であるCに対して求償できます。
    共同不法行為の加害者の各使用者が使用者責任を負う場合において、一方の加害者の使用者は、当該加害者の過失割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、他方の加害者の使用者に対し、当該加害者の過失割合に従って定められる負担部分の限度で、求償することができる。
  3. 正しい。加害者の使用者が、加害者たる被用者に対して求償することは可能です(民法715条3項)。ただし、本肢の記述通り全額を求償できるわけではなく、事実関係を考慮した上で信義則上相当と認められる金額までしか求償できません(最判昭51.7.8)。
    前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
    …使用者が業務上車両を多数保有しながら対物賠償責任保険及び車両保険に加入せず、また、右事故は被用者が特命により臨時的に乗務中生じたものであり、被用者の勤務成績は普通以上である等判示の事実関係のもとでは、使用者は、信義則上、右損害のうち四分の一を限度として、被用者に対し、賠償及び求償を請求しうるにすぎない。
  4. 正しい。加害者および加害者の使用者は共同不法行為者となり、連帯して責任を負います。連帯債務では、連帯債務者の一人が弁済をし、共同の免責を得たときは、その連帯債務者は他の連帯債務者に求償できるので、被用者Dは他方の使用者Aに対して求償できます。
したがって誤っている記述は[1]です。