その他の契約(全16問中13問目)

No.13

Aは、自己所有の建物について、災害により居住建物を失った友人Bと、適当な家屋が見つかるまでの一時的住居とするとの約定のもとに、使用貸借契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
平成17年試験 問10
  1. Bが死亡した場合、使用貸借契約は当然に終了する。
  2. Aがこの建物をCに売却し、その旨の所有権移転登記を行った場合でも、Aによる売却の前にBがこの建物の引渡しを受けていたときは、Bは使用貸借契約をCに対抗できる。
  3. Bは、Aの承諾がなければ、この建物の一部を、第三者に転貸して使用収益させることはできない。
  4. 適当な家屋が現実に見つかる以前であっても、適当な家屋を見つけるのに必要と思われる客観的な期間を経過した場合は、AはBに対し、この建物の返還を請求することができる。

正解 2

問題難易度
肢111.2%
肢256.5%
肢317.6%
肢414.7%

解説

  1. 正しい。使用貸借契約は、借主の死亡によって当然に終了します(民法597条3項)。よって、借主Bの死亡により使用貸借契約は当然に終了します。
    使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
    AがE所有の建物について貸主Eとの間で使用貸借契約を締結していた場合、Aの相続人は、Eとの間で特段の合意をしなくても、当該使用貸借契約の借主の地位を相続して当該建物を使用することができる。R3⑩-3-エ
    使用貸借契約において、貸主又は借主が死亡した場合、使用貸借契約は効力を失う。H13-6-2
  2. [誤り]。使用貸借権は登記できないので、使用貸借は第三者に対抗することはできません。借地借家法は賃借権を対象としているので、使用貸借には適用されません。
  3. 正しい。使用貸借では、貸主の承諾がなければ第三者に使用収益させることができません(民法594条2項)。よって、Bは、Aの承諾なしに建物の一部を転貸することはできません。
    借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。
  4. 正しい。使用貸借において返還時期を定めなかった場合、使用収益するのに適当な期間を経過した後、返還を請求することができます(民法598条1項)。本問では期間が定められていないので、Aは、適当な家屋を見つけるのに必要と思われる客観的な期間を経過したときは、建物の返還を請求することができます。
    貸主は、前条第二項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。
したがって誤っている記述は[2]です。