その他の契約(全16問中12問目)

No.12

民法上の委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
平成18年試験 問9
  1. 委任契約は、委任者又は受任者のいずれからも、いつでもその解除をすることができる。ただし、相手方に不利な時期に委任契約の解除をしたときは、相手方に対して損害賠償責任を負う場合がある。
  2. 委任者が破産手続開始決定を受けた場合、委任契約は終了する。
  3. 委任契約が委任者の死亡により終了した場合、受任者は、委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで委任事務を処理する義務を負う。
  4. 委任契約の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、相手方に対抗することができず、そのときまで当事者は委任契約上の義務を負う。

正解 3

問題難易度
肢110.6%
肢212.5%
肢360.0%
肢416.9%

解説

  1. 正しい。委任契約は、当事者のどちらからでも、いつでもその解除をすることができます。ただし、相手方に不利な時期に委任契約の解除をしたときは、相手方に対して損害賠償責任を負う場合があります(民法651条)。
    委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
    2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
    一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
    二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
  2. 正しい。委任契約は、①委任者または受任者の死亡、②委任者または受任者の破産、③受任者の後見開始のいずれかに至った場合には自動的に終了します(民法613条)。委任者の破産は、委任契約の終了事由のひとつです。
  3. [誤り]。委任者死亡の場合の委任事務の継続は、委任者の相続人等が委任事務を処理することができるまで行えば足り、相続人からの終了の承諾を得る必要はありません。
    委任者の死亡等により委任が終了したとき、急迫の事情がある場合には、受任者は、委任者等が委任事務を処理することができるように必要な処分をしなければなりません(民法654条)。
    委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。
  4. 正しい。委任の終了事由は、相手方に通知又は相手方がこれを知っていた場合でなければ、対抗することはできません。よって、相手方が知るまでは、当事者は委任契約上の義務を負うことになります(民法655条)。
    委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。
したがって誤っている記述は[3]です。