民法の規定及び判例(財産法) (全183問中92問目)

No.92

AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
出典:平成20年試験 問3
  1. Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、A自らが買主となって売買契約を締結したときは、Aは甲土地の所有権を当然に取得する。
  2. Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは、Cは甲土地の所有権を当然に取得する。
  3. Aが無権代理人であってDとの間で売買契約を締結した後に、Bの死亡によりAが単独でBを相続した場合、Dは甲土地の所有権を当然に取得する。
  4. Aが無権代理人であってEとの間で売買契約を締結した後に、Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合、Eは甲土地の所有権を当然に取得する。

正解 3

解説

  1. 誤り。自己契約が許されるのは、①本人の同意がある場合、②債務の履行である場合の2つのケースに限られます。代理人であるAが所有権を取得するには、2つのケースのどちらかに該当する必要があります。よって、売買契約を締結しても所有権を当然に取得するわけではありません(民法108条)。
    同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
  2. 誤り。当事者双方の代理人となる行為は、双方代理となり原則としてできません(民法108条)。本肢の場合は、AがB及びC両方の代理人となっているため、代理行為は無効となります。よって、Cは甲土地を当然に取得することはできません。
    同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
  3. [正しい]。本人の死亡により無権代理人が本人を単独で相続した場合、無権代理行為の追認を拒絶することはできないため、無権代理行為は当然に有効となります(最判昭40.6.18)。Bを単独で相続したAは無権代理行為を拒絶できないため、代理行為は有効となり、Dは甲土地の所有権を取得します。
    無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。
  4. 誤り。無権代理人の死亡により、本人が単独で無権代理人を相続した場合、本人は無権代理行為を拒絶することができます(最判昭37.4.20)。Aを単独で相続したBは無権代理行為を拒絶できるため、Bが追認をしない限り、Eは甲土地の所有権を取得することはできません。
    本人が無権代理人の家督を相続した場合、被相続人の無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではない。
したがって正しい記述は[3]です。