民法の規定及び判例(財産法) (全183問中88問目)

No.88

Aは、生活の面倒をみてくれている甥(おい)のBに、自分が居住している甲建物を贈与しようと考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
出典:平成21年試験 問9
  1. AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によってなされた場合、Aはその履行前であれば贈与を撤回することができる。
  2. AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によらないでなされた場合、Aが履行するのは自由であるが、その贈与契約は法的な効力を生じない。
  3. Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、甲建物の瑕疵については、Aはその負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。
  4. Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、Bがその負担をその本旨に従って履行しないときでも、Aはその贈与契約を解除することはできない。

正解 3

解説

  1. 誤り。贈与契約のうち撤回可能なのは、書面によらない贈与のうち未履行の部分のみです。書面による贈与は、履行済・履行前に関係なく撤回できません(民法550条)。
    書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
  2. 誤り。贈与契約は、当事者同士の合意によって成立する諾成契約です。書面によらないものであっても法的な効力を生じるため、Aは当該贈与契約を履行する義務を負います(民法549条)。
    贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
  3. [正しい]。負担付贈与の場合、贈与者は、目的物の瑕疵又は不存在について、売主と同じく担保責任を負います。ただし、この責任は負担の限度に限られます(民法551条2項)。
    負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
  4. 誤り。民法では、負担付贈与には双務契約の規定を準用するとしています(民法553条)。受贈者が契約に定める負担を本旨に従って履行しないときは、債務不履行となり、贈与者は所定の手続きをとることで解除することができます(民法541条)。
    負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
    当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
したがって正しい記述は[3]です。