民法の規定及び判例(財産法) (全183問中82問目)

No.82

Aは、Bに対し建物を賃貸し、月額10万円の賃料債権を有している。この賃料債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
出典:平成21年試験 問3
  1. Aが、Bに対する賃料債権につき支払督促の申立てをし、さらに期間内に適法に仮執行の宣言の申立てをしたときは、消滅時効は中断する。
  2. Bが、Aとの建物賃貸借契約締結時に、賃料債権につき消滅時効の利益はあらかじめ放棄する旨約定したとしても、その約定に法的効力は認められない。
  3. Aが、Bに対する賃料債権につき内容証明郵便により支払を請求したときは、その請求により消滅時効は中断する。
  4. Bが、賃料債権の消滅時効が完成した後にその賃料債権を承認したときは、消滅時効の完成を知らなかったときでも、その完成した消滅時効の援用をすることは許されない。

正解 3

解説

  1. 正しい。消滅時効は、以下の場合に中断します。
    請求
    裁判上の請求(訴えの却下又は取下げの場合には中断しない)
    支払催促(30日以内に仮執行の宣言の申立てが必要)
    催告(6カ月以内に裁判上の請求等が必要)
    差押え、仮差押え又は仮処分
    債務者の承認
    ただ支払催促を行っただけでは消滅時効は中断しませんが(民法150条)、本肢の場合、支払督促に加え、所定の期間内に仮執行の宣言を申し立てているので消滅時効は中断します。
    支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。
  2. 正しい。時効の利益はあらかじめ放棄することができないので、本肢のような特約はできません(民法146条)。
    時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
  3. [誤り]。内容証明郵便による支払の請求は催告に該当します。催告によって時効消滅を中断するためには、その催告と合わせて、6ヶ月以内に裁判上の請求等をする必要があります(民法153条)。内容証明郵便の送付のみでは、消滅時効は中断しません。
    催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。
  4. 正しい。消滅時効完成後に債務の承認を行った場合、債務者が消滅時効の完成について善意であったとしても、消滅時効の援用権がなくなります(最判昭41.4.20)。
    債務者が、消滅時効完成後に債権者に対し当該債務の承認をした場合には、時効完成の事実を知らなかつたときでも、その後その時効の援用をすることは許されないと解すべきである。
したがって誤っている記述は[3]です。