民法の規定及び判例(財産法) (全183問中75問目)

No.75

AはBから2,000万円を借り入れて土地とその上の建物を購入し、Bを抵当権者として当該土地及び建物に2,000万円を被担保債権とする抵当権を設定し、登記した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
出典:平成22年試験 問5
  1. AがBとは別にCから500万円を借り入れていた場合、Bとの抵当権設定契約がCとの抵当権設定契約より先であっても、Cを抵当権者とする抵当権設定登記の方がBを抵当権者とする抵当権設定登記より先であるときには、Cを抵当権者とする抵当権が第1順位となる。
  2. 当該建物に火災保険が付されていて、当該建物が火災によって焼失してしまった場合、Bの抵当権は、その火災保険契約に基づく損害保険金請求権に対しても行使することができる。
  3. Bの抵当権設定登記後にAがDに対して当該建物を賃貸し、当該建物をDが使用している状態で抵当権が実行され当該建物が競売された場合、Dは競落人に対して直ちに当該建物を明け渡す必要がない。
  4. AがBとは別に事業資金としてEから500万円を借り入れる場合、当該土地及び建物の購入代金が2,000万円であったときには、Bに対して500万円以上の返済をした後でなければ、当該土地及び建物にEのために2番抵当権を設定することはできない。

正解 4

解説

  1. 正しい。同一不動産に複数の抵当権が設定されている場合、その順位は、契約設定の前後ではなく、登記の前後で決することとなります(民法373条)。
    よって、Cを抵当権者とする抵当権が第1順位となります。
    同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。
  2. 正しい。抵当権は、物上代位も可能であるため、火災保険契約に基づく損害保険金請求権に対しても行使することができます。
    なお、この場合、Aの火災保険金受領前に物上代位をすることが必要です(民法304条1項民法372条)。
    先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
    第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
  3. 正しい。抵当権設定前に結ばれた賃借権であれば、賃借人は競落人に賃借権を対抗できますが、本肢は「抵当権設定登記後」の賃貸ですので対抗できません。
    ただし、抵当権が設定された建物を賃貸しており、賃借人が当該建物を使用している状態で抵当権が実行され当該建物が競売されても、賃借人は競落人に対して直ちに当該建物を明け渡す必要がありません。この場合、建物の明け渡しを6ヶ月猶予されることとなります(民法395条1項)。
    抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
  4. [誤り]。抵当権を設定する際に、被担保債権の有無や、抵当権の設定金額を担保物件の購入金額は関係ありません。よって、AはEのために後順位抵当権を設定できます。
したがって誤っている記述は[4]です。