民法の規定及び判例(財産法) (全183問中67問目)

No.67

Aは、Bに対し建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
出典:平成23年試験 問7
  1. BがAに対して賃料を支払わない場合、Aは、Bに対する賃料の限度で、Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求することができる。
  2. Aは、Bに対する賃料債権に関し、Bが建物に備え付けた動産、及びBのCに対する賃料債権について先取特権を有する。
  3. Aが、Bとの賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情がない限り、Cに対して、合意解除の効果を対抗することができない。
  4. Aは、Bの債務不履行を理由としてBとの賃貸借契約を解除するときは、事前にCに通知等をして、賃料を代払いする機会を与えなければならない。

正解 4

解説

  1. 正しい。賃借人が適法に賃借物を転貸した場合、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負うこととなります(民法613条1項)。つまり、Cは、CのBに対する転借料と、BのAに対する賃借料の低いほうを限度に、賃借人Aに対して直接の支払い義務を負うことになります。
    よって、Aは、Bに対する賃料の限度で、Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求することができます。
    賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
  2. 正しい。建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在します。また、先取特権は物上代位性があるので、債務者の有する賃料債権についても効力が及びます(民法313条2項民法304条)。
    土地の賃貸人の先取特権は、その土地又はその利用のための建物に備え付けられた動産、その土地の利用に供された動産及び賃借人が占有するその土地の果実について存在する。
    先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
  3. 正しい。賃貸人と賃借人の間で合意解除があっても、特段の事情がない場合には、その効果を転借人に対抗することはできません(最判昭39.2.1)。
    賃貸人の承諾ある転貸借の場合には、転借人に不信な行為があるなどして、賃貸人と賃借人との間で賃貸借を合意解除することが信義誠実の原則に反しないような特段の事由のあるほか、右合意解除により転借人の権利は消滅しない。
  4. [誤り]。Bの債務不履行により契約解除となった場合、Aは転借人であるCから賃料債権を取得することができます。しかし、これは義務ではありません(最判昭37.3.29)。
    適法な転貸借がある場合、賃貸人が賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して右延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではない。
したがって誤っている記述は[4]です。