民法の規定及び判例(財産法) (全183問中55問目)

No.55

A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、表見代理は成立しないものとする。
出典:平成24年試験 問4
  1. Bの無権代理行為をAが追認した場合には、AC間の売買契約は有効となる。
  2. Aの死亡により、BがAの唯一の相続人として相続した場合、Bは、Aの追認拒絶権を相続するので、自らの無権代理行為の追認を拒絶することができる。
  3. Bの死亡により、AがBの唯一の相続人として相続した場合、AがBの無権代理行為の追認を拒絶しても信義則には反せず、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。
  4. Aの死亡により、BがDとともにAを相続した場合、DがBの無権代理行為を追認しない限り、Bの相続分に相当する部分においても、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。

正解 2

解説

  1. 正しい。無権代理行為が追認された場合、原則として契約時に遡ってその効力を生じます。よって、AC間の売買契約は有効となります(民法116条)。
    追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
  2. [誤り]。無権代理人が本人を相続した場合には、信義誠実の原則に違反するため、本人の有していた追認拒絶権を行使することはできません(最判昭40.6.18)。
    無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。
  3. 正しい。本人が無権代理人を相続した場合には、本人が本来有していた追認拒絶権を行使することは可能です。Aが追認拒絶を行使し得ることから、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではありません(民法113条最判昭37.4.20)。
    代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
    本人が無権代理人の家督を相続した場合、被相続人の無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではない。
  4. 正しい。本人が死亡し、無権代理人が共同相続したときは、共同相続人全員が追認した場合に限り、無権代理人の相続分についても有効となります(最判平5.1.21)。
    無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。
したがって誤っている記述は[2]です。