民法の規定及び判例(財産法) (全183問中45問目)

No.45

甲土地の所有者Aが、他人が所有している土地を通行することに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
出典:平成25年試験 問3
  1. 甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない場合、Aは、公道に出るために甲土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。
  2. 甲土地が共有物分割によって公道に通じなくなった場合、Aは、公道に出るために、通行のための償金を支払うことなく、他の分割者の土地を通行することができる。
  3. 甲土地が公道に通じているか否かにかかわらず、他人が所有している土地を通行するために当該土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合、Aは当該土地を通行することができる。
  4. 甲土地の隣接地の所有者が自らが使用するために当該隣接地内に通路を開設し、Aもその通路を利用し続けると、甲土地が公道に通じていない場合には、Aは隣接地に関して時効によって通行地役権を取得することがある。

正解 4

解説

  1. 正しい。土地が他の土地に囲まれて公道に通じない場合、公道に出るために甲土地を囲んでいる他の土地を通ることができます(民法210条1項)。ただし、最も損害が少ない部分を選んで通行する必要があります(民法211条1項)。
    他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
    前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
  2. 正しい。土地が共有物分割によって公道に通じなくなった場合、公道に出るために、通行のための償金を支払うことなく、他の分割者の土地を通行することができます(民法213条1項)。
    分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
  3. 正しい。土地が公道に通じているか否かにかかわらず、他人が所有している土地を通行するために当該土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合、Aは当該土地を通行することができます(民法601条)。
    賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
  4. [誤り]。地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識できるものに限り時効取得できます(民法283条)。また、本肢のような場合、通路の開設は要役地となるべき土地の所有者によってなされなければなりません(最判昭33.2.14)。
    地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
    民法第二八三条にいう「継続」の要件をみたすには、承役地たるべき土地の上に通路の開設があつただけでは足りず、その開設が要役地所有者によつてなされたことを要する。
したがって誤っている記述は[4]です。