民法の規定及び判例(財産法) (全183問中29問目)

No.29

AB間で、Aを貸主、Bを借主として、A所有の甲建物につき、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
出典:平成27年試験 問3
  1. Bが死亡した場合、①では契約は終了しないが、②では契約が終了する。
  2. Bは、①では、甲建物のAの負担に属する必要費を支出したときは、Aに対しその償還を請求することができるが、②では、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。
  3. AB間の契約は、①では諾成契約であり、②では要物契約である。
  4. AはBに対して、甲建物の瑕疵について、①では担保責任を負う場合があるが、②では担保責任を負わない。

正解 4

解説

  1. 正しい。賃貸借契約によって発生した賃借権は債権の一種で、相続の対象となります。一方、使用貸借契約については、民法599条において「使用貸借は借主の死亡によって、その効力を失う」と規定されています。
    使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。
  2. 正しい。賃貸借契約においては、賃借人は、賃貸人に対して、賃借人自身が負担した必要費について直ちにその償還を請求することができます(民法608条1項)。
    一方、使用貸借における必要費については、借主が負担します(民法595条1項)。
    賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
    借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
  3. 正しい。賃貸借契約は、当事者の合意のみ(物の引渡しは要件ではない)によって成立する「諾成契約」である(民法601条)のに対し、使用貸借契約は物の引渡しが必要な「要物契約」です(民法593条)。
    賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
    使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
  4. [誤り]。使用貸借契約で「担保責任を負わない」という点が誤りです。
    原則として使用貸借の場合、贈与と同じ無償契約であることから貸主は担保責任を負いません。しかし、貸主が瑕疵を故意(過失の場合は含まない)に知りながら借主に告げなかった場合は担保責任を負います(民法596条民法551条)。
    一方、有償契約である賃貸借には売買契約の規定が準用されるため、貸主は担保責任を負います。
    第五百五十一条の規定は、使用貸借について準用する。
    贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
したがって誤っている記述は[4]です。