民法の規定及び判例(財産法) (全183問中2問目)

No.2

Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
出典:平成30年試験 問2
  1. Bが売買代金を着服する意図で本件契約を締結し、Cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合であっても、本件契約の効果はAに帰属する。
  2. AがBに代理権を授与するより前にBが補助開始の審判を受けていた場合、Bは有効に代理権を取得することができない。
  3. BがCの代理人にもなって本件契約を成立させた場合、Aの許諾の有無にかかわらず、本件契約は無効となる。
  4. AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に本件契約が締結された場合、Bによる本件契約の締結は無権代理行為となる。

正解 4

解説

  1. 誤り。代理権の相手方が代理人の意図を知り、または知ることができた場合、本件契約は無効となり、効果がAに帰属することもありません(民法93条最判昭42.4.20)。
    意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
    代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知りまたは知りうべきであつた場合にかぎり、民法第九三条但書の規定を類推適用して、本人はその行為についての責に任じないと解するのが相当である。
  2. 誤り。制限行為能力者であっても、代理人になることは可能です(民法102条)。
    よって、Bが被補助人であっても、Bは有効に代理権を取得することができます。
    代理人は、行為能力者であることを要しない。
  3. 誤り。Bは、A及びC両方の代理人になりますから、双方代理行為になります。原則として双方の代理人となることはできませんが、本人からの許諾があるときには双方代理をすることも可能です(民法108条)。
    本肢の場合、A及びCの許諾があれば双方代理は有効になります。
    同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
  4. [正しい]。代理人が後見開始の審判を受けた場合、その時点で代理権は消滅します(民法111条1項)。
    代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
    一 本人の死亡
    二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
したがって正しい記述は[4]です。