民法の規定及び判例(財産法) (全183問中15問目)

No.15

請負契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
出典:平成29年試験 問7
  1. 請負契約が請負人の責めに帰すべき事由によって中途で終了し、請負人が施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払を請求することができる場合、注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事の施工に要した費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られる。
  2. 請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還しなければならない。
  3. 請負契約の目的物に瑕疵がある場合、注文者は、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けていなくとも、特別の事情がない限り、報酬全額を支払わなければならない。
  4. 請負人が瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない。

正解 3

解説

  1. 正しい。記述の通りです。判例によれば、損害賠償をできるのは、未施工部分に相当する請負代金を超える額に限られます。
  2. 正しい。注文者の責に帰すべき事由によって、履行ができなくなった場合でも、請負人は請負代金を請求することが可能です。しかし、債務を免れたことによる利益は注文者に償還しなければなりません。(民法536条2項
    債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
  3. [誤り]。瑕疵がある場合の損害賠償義務は、注文者の報酬支払いと同時にする必要があります(同時履行)。よって、請負人から瑕疵の補修に変わる損害賠償を受けていない場合は、報酬全額を支払う必要はありません。(民法634条2項
    注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。
    民法533条
    双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
  4. 正しい。原則として瑕疵担保責任を負わない旨の特約をした場合は、瑕疵担保責任を負うことはありません。しかし、知りながら告げなかった(請負人が悪意の)場合は瑕疵担保責任を負う必要があります。
したがって誤っている記述は[3]です。